大気海洋研究所 資源生態分野

概要

 海洋動物は陸上動物と比べると一般にきわめて多産である.産卵数や産卵期は年々の海洋環境の変化に伴って変わり,卵の大きさや栄養蓄積量も変化する.また,海洋動物の幼体は成体とは全く違う形態をもつものが多く,その生態も成体とは異なる.たとえば,マイワシやカツオの仔魚は泳ぐ力が弱く,外的に対しても無力であるが,成魚は大きな群れを作って活発に遊泳する.アワビやウニなど底生無脊椎動物の幼生の多くは,生後しばらくは浮遊し,「変態」という劇的な形態の変化を経て底生生活に移行する.生まれた子の多くは卵から幼生期にかけて生活史初期に死亡し,その時期を乗り越えて生き残ることのできる個体はごくわずかである.したがって,毎年新たに加入する若年齢の資源量は,卵の量や幼生期の大量死亡の程度によってきまり,年によって大きく変動する.資源生態分野では,資源として利用される動物の繁殖生態と初期生態を,フィールドにおける調査や飼育実験,その他様々な手法をフィールドにおける調査や飼育実験,その他様々な手法を用いて研究している.それによって加入量変動の生物学的基礎を明らかにして,最適な資源管理手法の確立に資することを目的としている.

写真
1. ニシンの仔魚(下)から稚魚(上)への変態
2. マイワシ稚魚(体長34.4 mm)の耳石日輪
3. 紅藻の無節サンゴモ上に付着するアワビ類稚貝(殻長約1 cm)
4. 潜水調査風景(付着板を用いた着底稚貝調査)

主な研究テーマ

  • 海産動物の繁殖,初期生態と資源変動
  • ニシン科魚類における加入量変動機構
  • アワビ類の再生産戦略と加入量変動機構
  • 海産資源生物の生活史,個体発生,個体群動態

スタッフ

教授 河村 知彦 [個人ページ]
准教授 岩田 容子 [個人ページ]
助教 猿渡 敏郎 [個人ページ]
特任講師 Zhang Hui
准教授
(国際沿岸海洋研究センター)
北川 貴士 [個人ページ]

研究室ホームページ

http://shigenseitai.aori.u-tokyo.ac.jp/

http://www.fs.a.u-tokyo.ac.jp/laboratory/seitai.html