水圏天然物化学研究室

研究室の概要

 太古以来,人類は身のまわりの動植物を薬として用いてきた.悠久の時と膨大な数の命を賭して行われた試験を経て,民間伝承薬が誕生したわけである.時は流れ,カビが作るペニシリンの発見をひとつの契機として,微生物の発酵物に医薬素材を求める大きな潮流が生じた.陸生動植物と微生物に関する研究が一段落した後に,化合物ハンターが目をつけたのは,誰も手をふれていなかった海洋生物であった.期待通りに,陸上生物からは想像もできなかった範疇の化合物が,海洋生物にはふんだんに含まれていた.コンピューターモデリングで活性物質がデザインできる時代が来つつあるが,生命史を通して洗練を重ねてきた天然物に潜む創造の妙は,人知をはるかに越えている.当研究室では,未開拓の海洋生物を素材として,医薬品および水産薬の探索を行っている.また,微細緑藻が生成する多量のテルペン類は化石燃料代替資源のひとつとみなされており,その生合成経路の解明を目指している.

写真
1. これも重要な生化学資源?
2. 石油を作る緑藻
3. メスが分泌したフェロモンに興奮してメスを抱きすくめるクリガニのオス
4. 海綿から発見されたトロンビン阻害剤,cyclotheonamide A (黄色) がヒトα-トロンビンに結合している様子(X線回折像)
5. プロテインホスファターゼ阻害剤,Calyculin(カリキュリン)
6. カリキュリンとプロテインホスファターゼの複合体の結晶構造

主な研究テーマ

  • 海産無脊椎動物からの生物活性物質の探索
     (抗腫瘍物質,酵素阻害物質,魚病薬,抗マラリア剤,分化誘導物質等)
  • 緑藻 Botryococcus の産生する炭化水素生合成遺伝子の解明
  • 海綿における有用物質生産メカニズムの解析
  • 水圏生物の個体間情報伝達物質の解明

スタッフ

教授 松永 茂樹 [研究者データベース]
准教授 岡田 茂 [研究者データベース]
助教

研究室ホームページ

http://anpc.fs.a.u-tokyo.ac.jp/