大気海洋研究所 微生物分野

概要

 この惑星上の最初の生命が海で生まれたとすると,その名残を最も留めているのが海洋微生物だろう.海には100万種を超える微生物が存在し,地球環境や生態系を支える精妙な仕組みを生み出す原動力となっているが,既知の微生物種はその1%にも満たない.海洋生物の現存の半分以上が, 大きさわずか数ミクロンの微生物で占められていることは驚きに値する.その圧倒的な生物量に支えられた生命活動によって,炭素や窒素,硫黄といった主要元素の循環や,二酸化炭素やメタン,亜酸化窒素などの温室効果ガスの収支に強い影響を与え,全球スケール環境変動に深く関与している.さらには,高温,低温,高圧,低栄養,低酸素などの極限環境にも適応できる多彩な機能を,環境浄化修復技術に活用することも期待されている.私たちの研究室では,海洋微生物の生理生態学的機能とその機能が地球環境の維持に果たす役割を明らかにすることを目的として,基礎,応用の両面から幅広く研究を行っている.

写真
1. 珪藻(赤色)を分解して活発に増殖する海洋細菌(緑色)
2. 東京湾海底に生息する糸状性硫黄酸化細菌
3. ヒイラギの稚魚と寒天培地上で光る発光細菌
4. 細菌の原子間力顕微鏡写真

主な研究テーマ

  • 海洋微生物の共生,進化と多様化のメカニズム
  • 海洋性病原細菌の生態
  • 海洋微生物の生態学的機能と気候変動の関係
  • 環境浄化に寄与する微生物代謝機能

スタッフ

教授 浜崎 恒二 [紹介ページ]
准教授
助教 西村 昌彦

研究室ホームページ

http://ecosystem.aori.u-tokyo.ac.jp/microbiology-wp/